資産運用

日本在住者がHSBC香港口座を開設する際に注意すべきポイント。口座名義人が亡くなったら相続はどうなる?

香港在住15年以上、国際結婚で英語、中国語(普通話・広東語)を中途半端に操り(笑)、香港が第二の故郷になっているトニー(@enjoyhklife)です。

一時期、日本にいる方が香港に来てHSBCの銀行口座を開設する、「HSBC香港銀行口座開設ツアー」なるものが流行ったことがありました。

HSBCとは「The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited」の略称で、イギリスのHSBCホールディングスの傘下の銀行。香港では香港ドルの発券銀行の1つです。

HSBCについては、香港に来た時にHSBC本店ビルを見たことがある方も多いのではないかと思います。


(WikipediaよりHSBC本店ビル)

で、その「HSBC香港銀行口座開設ツアー」でHSBC口座を開設したはいいが、それで満足してしまい、そのまま利用せずに完全放置してしまっているケースが多発しているようなのですね。

また、HSBCもインターネットバンキングがあるのですが、ログイン入力を誤ったりしてロックされ、英語や中国語が話せないために解除手続きをとることができず、やっぱり放置しているケースもあるようです。

ちゃんと利用すれば利用価値の高いHSBC口座なのですが、HSBC口座を保有する際に注意することなどをお話ししたいと思います。

Contents

そもそも日本在住者がHSBC香港で口座開設できるの?

日本に住んでいる多くの方が、「外国に銀行口座持つなんてカッコいいよね♪」なんて言う感覚で「HSBC香港銀行口座開設ツアー」に参加しているようです。

HSBCでの口座開設自体は、時によって、また担当者によって状況が変わったりもするのですが、基本的には日本在住者であっても口座開設は可能です。

HSBC香港の口座開設に必要な書類と注意事項

HSBC香港で口座を開設する際に必要な書類としては、①パスポート、②住所証明書と③マイナンバーです。

住所証明書としては、英語で記述されている必要がありますので、多くの場合で使われるのが「国際免許証」です。

マイナンバーが必要となる理由は、共通報告基準(CRS)に基づいて、香港から見て「非居住者」が保有する金融口座情報をその非居住者の居住地国の税務当局に対し情報提供を行うためです。

以前は、「香港の銀行口座においてある資金は日本からはわからない」などという理由で、香港の金融機関に口座を持つケースがあったようですが、現在は香港の口座の情報も日本と共有されていると考えたほうが良いでしょう。

(参考:国税庁:CRSコーナー

そして、HSBCで口座を開設する際に必要なのが、英語か中国語(北京語か広東語)で最低限の受け応えができること、です。

これが全くできない人は、HSBCで口座を開設することを考え直した方が良いかと思います。

言葉ができない人で、香港現地のエージェントなどを使って、HSBC口座を開設する方も多いのですが、それで開設できたとしても、実際にインターネットバンキングや、ATMカードなどを利用するときなどすべての手続きをエージェントに頼らなければならなくなり、エージェントを利用する費用がバカにならなくなります。

また、インターネットバンキングで、ログイン時の入力間違えやパスワードを忘れたなどで、口座がロックされると、解除手続きのために大変な労力がかかります。

通常は、HSBCのホットラインに電話して解除してもらったりするのですが、当然会話は英語か中国語になります。

HSBC香港口座を開設した後に必ずやらないといけないこと

口座を開設手続きをして、やらなければいけないことが3つあります。

1つはATMカードのアクティベート、2つめは海外引き出し限度額の設定、そして3つ目はインターネットバンキングの設定です。

①HSBC香港のATMカードのアクティベート

口座開設時にATMカードを受け取るのですが、香港にいる間にこのATMカードをアクティベートしなければいけません。

アクティベートの方法は簡単で、香港にあるHSBCのATMで1回ATMカードを使ってみるだけです。

その際に、初期PIN(口座開設時にもらうATM用のパスワード)を変更したり、残高を確認したりすればよいでしょう。

これで、ATMカードがアクティベートされます。

②HSBC口座の海外引き出し限度額を設定する

HSBC口座開設時の初期設定では、ATMカードを使って日本で引き出しをすることはできません。

海外引き出し限度額」がゼロとなっているからです。

この設定はインターネットバンキングでもできるのですが、香港にいる間にATMで設定することもできますので、あらかじめ設定しておくことをお勧めいたします。

一度設定しておけば、世界中のATM(UnionPay(銀聯)マークがついている)でHSBC口座の香港ドル預金口座にある現金を現地通貨で引き出すことができます。

③HSBC口座のインターネットバンキングの設定

日本から香港に来てHSBCの口座を設定する人のほとんどがインターネットバンキングで口座を操作することになると思います。

そのために、インターネットバンキングを設定し、そのログインIDやパスワードは紛失しないように大事に保管してください。

また、1カ月に1度くらいはログインをするようにしてください。

長期間(大体半年以上)ログインした記録がないと、インターネットバンキングがロックされてしまうことがあります。

ロックされてしまうと、香港に来なければ解除できなくなることもありますので十分な注意が必要です。

HSBC口座開設は共有名義が良いのか、個人名義が良いのか

HSBC香港口座では、2人名義での共有口座を開設することができます。

旦那さんと奥さん、父親と子供など、家族と一緒に共有名義を開設しておくと、万が一の時に、もう一人の名義人が口座を操作することができるので安心です。

HSBC香港の個人口座名義人が死んだら相続はどうなる?

ここがこの記事で私が一番言いたかったことでもあるのですが、万が一、HSBCの口座を保有している方が亡くなったら口座資産の相続はどうなるのでしょうか。

共有名義であれば、もう一方の方が操作すればよいので、もうHSBC口座を利用する必要がなければ日本などの銀行口座に送金するなどもできます。

ただ、これが共有名義ではなく個人名義だった場合は非常に厄介なことになります。

香港では、相続財産の扱いに関してはプロベート(Probate)と呼ばれる裁判所での検認手続きが必要となります。

プロベートでは、遺産管理人を立て、裁判所からの許可に基づいて相続財産を相続人に引き渡す手続きを行います。

このプロベートをスムーズに行うためには、香港で遺言を作成して、遺言執行人まで指定しておけばよいのですが、これがないとかなり費用と手間がかかってしまいますので注意が必要です。

そのため、HSBC香港口座を開設する場合には以下のことを検討することをお勧めします。

  1. 共有名義で開設することを検討する。もしくは個人名義で開設した後に、後日名義人を追加して共有名義にする。
  2. ATMカードのPINナンバーやインターネットバンキングのログインIDとパスワードを家族などと共有しておく。
  3. 香港で遺言を作成しておき、遺言執行人も指定しておく。

香港で遺言の作成、遺言を執行する際の費用

ちなみに、遺言の作成は香港の弁護士の立ち合いの元、作成するのですが、費用は数万円でできます。(弁護士にもよりますが高くても10万円以下でしょう)

ただ、遺言執行人の執行手続きについては50万円~80万円ほどかかるようですので、銀行口座の資産がそれ以下だと、手続きをしてもコストだけかかってしまう、ということにもなりかねないので注意が必要です。

遺言作成や執行のコストについては、それこそ弁護士によって大きく金額が異なりますので、いくつかの弁護士の費用を比較したうえで、費用が安く信頼できそうな弁護士を選択することが大切になってきます。

まとめ

海外で銀行口座を持つ、ということは日本在住者の方からしてみたら「カッコいいこと」のように感じることはよく理解できます。

ただ、HSBCに預けるお金も大事なあなたのお金です。

そのお金の管理をどうするかまでしっかり考えた上で、口座を管理するようにしましょう。

実際、私の周りでもHSBCで口座を作ったはいいが、英語や中国語が話せないために口座をうまく使いこなせず、そうこうしているうちにインターネットバンキングのログインがロックされ、どうしてよいかわからず放置状態になっている、という話をよくききます。

これからのグローバル社会を生きるために香港のような国際金融都市で銀行口座を持つことを否定はしませんが、少なくとも最低限の操作は自分でできるようにしておくことをお勧めいたします。

海外に銀行口座を持ったことをきっかけにして、本格的に英会話を勉強し始めるっていうのもありですからね。

https://enjoyhklife.com/%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%b5%e3%83%97%e3%83%aaenglish%e6%96%b0%e6%97%a5%e5%b8%b8%e8%8b%b1%e4%bc%9a%e8%a9%b1%e3%82%b3%e3%83%bc%e3%82%b9/

せっかく作ったHSBC口座なのですからぜひ、有効に使ってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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