海外生活

【おススメ中国本!】現代中国を代表する作家、余華の本で中国人の眼から中国を深く学ぶ

書籍から中国のことを学びたいと思う時、多くの方は日本人が書いた書籍や、外国人が書いた書籍を読むことが多いと思います。

あえて、中国人が書いた書籍を読む人はなかなかいないのではないかと思います。

トニー
トニー
中国人の書いた本って結構偏ってるんじゃないのかなぁ~

と、思っている人も少なくないかもしれません。

しかし、今回私はこの人の本を読んでみて、目からうろこの状態になりました。

今回は、私が中国人の友人から紹介されて読んだ書籍で、ぜひ皆さんにもおすすめしたい作家、書籍をご紹介いたします。

Contents

現代中国を代表する作家:余華

余華(よか、ユー・ファ)という中国人作家の名前を聞いたことがありますでしょうか。

日本ではまだまだ知られてしないかもしれませんが、今やその著作は日本語を始め多くの言語に翻訳されている、現代中国を代表する作家ともいえる方です。

余華氏の代表作「活著(活きる)」は張芸謀(チャン・イーモウ)監督によって映画化されています。

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余華氏の作品の特徴は、彼自身の経験も踏まえながら、「毛沢東」「大躍進」「文化大革命」「改革開放後の経済格差」など、現在の中国では敏感な話題と言えるものにも鋭く切り込んで表現しているところです。

それは、以下の動画で彼自身が言っていますが、余華氏が比較的早期に作家として成功し、中国内外で有名になったことから、多少のことでは政府などからの圧力もかからない、ということもあるようです。

現在は言論面でも統制が厳しい時代。若い、まだ名が売れていない作家は余華氏のように中国国内にいながら鋭く中国の現状(矛盾点や問題点)を表現するのは難しいと言われています。

現在は北京で生活しながらも中国を鋭く見て表現を続けている余華氏の作品は注目に値すると言えるでしょう。

余華とはどのような人物なのか

余華氏は1960年に中国の杭州で生まれました。そして、子供、青年時代を激動の中国の中で過ごします。

1958年から1961年まで続いた中国の工業と農業の大増産政策でありながら、中国社会を大混乱に引きずり込んで多くの死者も出した大躍進政策

1966年から1976年の10年間、中国共産党内部の権力闘争が、学生運動から発した紅衛兵による「反革命勢力」の批判や打倒として全国に広がり、これまた中国が大混乱に陥った文化大革命

そして、1976年の毛沢東の死と文化大学名の終息、その後1978年から鄧小平によってはじめられた改革開放と中国の高度経済成長期。

さらには、1989年6月4日、北京の天安門に集結していた学生などのデモを武力で鎮圧した天安門事件

余華氏は、自身が経験したこの中国の激動の変遷を以下のように表現しています。

極端に抑圧された時代が社会の激変にさらされると、必然として正反対の極端に放縦な時代がやってくる。ブランコと同じで、こちら側で高いところまで揺れれば、向こう側も必ず高いところまで行く。(引用:「ほんとうの中国の話をしよう」)

余華氏は、これら建国以来激動の歴史をたどっていた中国とともに青年時代を送った作家なのです。

余華氏の代表作:「活著(活きる)」、「許三観売血記(血を売る男)」、「兄弟」

余華氏の代表作である「活著(活きる)」「許三観売血記(血を売る男)」「兄弟」などは、このような激動の時代に翻弄されながらもたくましく活きる主人公の姿を余すところろなく描いています。

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それぞれの主人公は過酷な時代を生き、さまざまな人生の悲劇を経験しながらも、ストーリー自体は、そこまで悲観的ではなく、苦しみながらもたくましく生きていく、という中国人らしさ、みたいなものも表現されています。

あの時代、個人の運命は自分では決められなかった。誰もがみな流れに身を任せ、前方に待っているのが幸福なのか不幸なのか、それは知りようがないことだった。(引用:「ほんとうの中国の話をしよう」)

「活著(活きる)」、「許三観売血記(血を売る男)」、「兄弟」。

この三作はストーリーの時代背景は似通っているところもあるので、もしどの本から読んだらよいかわからない場合は、まずは「活著(活きる)」から読まれたら良いと思います。

「活著(活きる)」は分量的にも手ごろで、余華氏が作品を通して訴えたいことのエッセンスが詰まった作品といえるのではないかと思います。

また、冒頭でも紹介しましたが、「活著(活きる)」は張芸謀(チャン・イーモウ)監督によって映画化もされている余華氏の作品としては必読の書ともいえるものとなっています。

余華氏の代表作:「ほんとうの中国の話をしよう」「中国では書けない中国の話し」

上記の余華氏の三部作ともいえる作品を読んだ後にぜひ読んでいただきたいのが、「ほんとうの中国の話をしよう」、「中国では書けない中国の話」

この2冊はどれもエッセイ集となっています。

例えば「ほんとうの中国の話をしよう」では10個のテーマについて余華氏自身の体験や考えなどが詳しく述べられています。

これだけでも読み物としてとても面白いのですが、「ほんとうの中国の話をしよう」を読むと、「活著(活きる)」などの作品の背景となっている時代の余華氏の体験や、その時代に対する余華氏の考え方などがよくわかるようになっています。

これらのエッセイ集を読むことによって、「活著(活きる)」などの余華氏の作品をより深く読むことができるのです。

中国在住の中国人が書いた「中国本」

私自身、日本人や外国人が書いたいわゆる「中国本」は読んできたわけですが、余華氏の本との出会いはとても新鮮なものとなりました。

「大躍進」や「文化大革命」などは私のような外国人からしたら、なかなか理解しがたい出来事だと思います。

しかし、その中で幼少期を過ごした余華氏が自らの体験を踏まえて、当時の様子をわかりやすく表現していることから、余華氏の本を読むだけで、当時の中国人民がどのように生きていたのかがよくわかるようになっています。

余華氏の本はあなたの「中国観」を大きく変える書籍になるかもしれません。

是非、一読をお勧めします。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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