海外在住が長いのに日本の2級FP技能士資格を持っていて、資産運用にもちょっと携わっているトニー(@enjoyhklife)です。
日本では主婦を始め多くの人に人気の投資商品、外国為替証拠金取引(FX)。
この記事を見ていらっしゃる皆さんの中にもFXの取引をしている方、FX取引に興味を持っている方は少なくないと思います。
レバレッジがかけた取引ができるため大きく儲けることができる
24時間取引されているので、自分が時間があるときにいつでも取引ができる
スワップポイントがお小遣いみたいにはいってくるのがうれしい
確かにこれらはFXが持つ魅力ではあります。
しかし、私個人としては「資産運用」としてのFXはお勧めしません。
ここでは、資産運用の視点からみたFXとそのリスク、それでもFXを取引したい人が注意すべきことをお話ししたいと思います。
Contents
外国為替証拠金取引(FX)とは
FXの正式名称は、外国為替証拠金取引と呼ばれています。
日本のFX個人投資家をFX取引市場では「ミセス・ワタナベ」と呼んでいますが、FXは今では日本の個人投資家の間に幅広く取引されている投資商品となっています。
その数は、東京外国為替市場においても主要なプレーヤーとしての地位を確保していて、FX個人投資家は取引全体の4割を占めているほどです。
しかし、この現象は日本に特異なものとなっていて、実際、アジアの金融都市・香港でもFXの取引をしている個人投資家というのは目立ちません。
そもそも、FXとは為替レートの変動を利用して、ある通貨が今後強くなると思ったら買いのポジションをとり、弱くなると思ったら売りのポジションをとるなどして、取引をする金融商品です。
また、通貨間の金利差を利用して、金利の高い通貨を買って、金利の低い通貨を売るというポジションを持つと、金利差から「スワップポイント」と呼ばれるお小遣いみたいなものがもらえるというのも大きな魅力になっています。
さらに、FXには最大25倍という「レバレッジ」をかけた取引ができるため、小さな元手で大きな取引ができるため、うまくいけば資産を大きく増やすこともできる、という点がもう一つの魅力となっています。
FXのリスク
いくつもの魅力を持ち、日本の多くの個人投資家も取引しているFXですが、投資商品である以上、当然リスクもあります。
主なFXのリスクとしては以下のものがあります。
- レバレッジによる損失の拡大
- 24時間取引されている
- 相場の大きな変動が突然起こることがある
FXのリスク①:レバレッジによる損失の拡大
日本でFXを取引すると最大25倍までのレバレッジをかけて取引をすることができます。
例えば、1000万円分の取引をするのにレバレッジをかければ、40万円で1000万円分の取引ができてしまうということなのですね。
これは、小さな元手で大きな利益を得られる可能性がある反面、自分が思っていない方法に為替相場が動くとそれだけ損失も大きくなるというリスクとなっています。
FXのリスク②:24時間取引されている
FXは、世界中で取引されているため、24時間いつでも取引が可能です。
これは、仕事終わりの時間でも取引できるなどメリットでもあるのですが、ポジションを持ったまま仕事に行ったり寝たりしてしまうと、自分が取引できない時に相場が大きく動く可能性もあるというリスクもあります。
ですから、仕事が終わってスマホの画面を開いてみたり、朝起きてスマホをのぞいてみたら相場が大きく動いていてびっくり、ということが実際にあり得るんですね。
しかも、FX相場はアメリカの経済指標の発表や、アメリカの中央銀行である連坊準備理事会(FRB)の発表する内容で大きく動くことがあるため、日本時間で見ると、だいたい寝ている間に相場が動いてしまいます。
自分が取引をできない時のリスク管理をしっかりすることがとても大事になってきます。
FXのリスク③:相場の大きな変動が突然起こることがある
FX市場では、「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれる相場の急変が起こることがあります。
直近の有名な例では、2019年1月3日に起こった米ドル円の変動。5分ほどの間に108円台から103円台まで米ドルが急落して円高に振れました。
このような変動が自分が取引できない時間に起こってしまうと、すぐに対処できないので、危険です。
あらかじめ、損切りなどの注文を出しておくこともできますが、この点でもFXはリスク管理をしっかりしていないと元手をすべて失うくらいの大きな損失を抱えてしまうリスクがあるのです。
資産運用とFX
ここで私が言っている資産運用とは、「資産形成」といえるかもしれませんが、中長期的に安定して資産を増やしていくためのもの、という意味で使っています。
「老後資金2000万円必要」という話も話題になりましたが、自分の夢や目標、老後のために資産を増やしていくためのものが「資産運用」と考えています。
その観点から考えると、FXは言ってみれば、ギャンブル性が強く、レバレッジがかかっているポジションを持っているときにフラッシュ・クラッシュが起こってしまうと、積み上げてきた資産や利益が一気に吹き飛んでしまうというリスクを抱えています。
ただ、私はFXを投資対象として否定するわけではありません。
ただ、FXが持っているリスクを考えると、FXを中長期的に資産を増やすための資産運用として組み込むのは難しい、というのが結論です。
ですので、FXを私が言う資産運用と切り離して、一定の余剰資金を元に、しっかりリスク管理して行うことができれば、FXも投資対象として利用する価値はあると思います。
FXを取引するときに必要なこと
それでも、FXを取引したい、という際に必要なことを挙げてみたいと思います。
- 自分の取引ルールを決めてそれに従って取引できる
- リスク管理がしっかりできる
- 余剰資金で取引をする
自分の取引ルールを決めてそれに従って取引できる
FXは、レバレッジがあり24時間取引されているからこそ、しっかり自分の中で取引ルールを決めておく必要があります。
そうでないと、相場が自分が想定していたのと逆に変動した時に大きく損失を抱えてしまったり、だらだら取引をしてしまって、生活のリズムがくるってしまうことになります。
- 取引は夜の〇時~〇時までに行なって、ポジションは必ず閉じる、もしくは必ず損切理の注文を入れておく
- いくらいくら損失を出してしまったら、すぐにまた取引をせず、1週間は取引を中断し、損失の原因を確認し、自分の取引を見直す
例として挙げてみましたが、このように自分のルールを決めておかないと、どんどん損失を拡大させてしまうことになってしまいますので注意が必要です。
リスク管理がしっかりできる
自分のルールを作ることとも関連してきますが、自分の取引に対してリスク管理をしっかりできることがとても大事です。
これだけ相場が動くと○○円損をしてしてしまう、だから○○円で損切り注文を出しておこう、というような考えることができることは必要です。
自分の資金に対して、レバレッジをかけすぎない、損切りのラインをしっかり決めておくなど、自分の投資資金の範囲で、リスクを抑えて取引をしましょう。
余剰資金で取引をする
FXの取引はレバレッジがかかっているからこそ、投資資金のすべてを失ってもよいというくらいな「余剰資金」の範囲内での取引に限定するようにしましょう。
生活資金だったり、大切な将来のための資金などをFX投資に回すことはお勧めできません。
全てを失ったとしても生活に影響がないくらいの資金の範囲で取引することをお勧めいたします。
まとめ
FXはレバレッジがかかっていて、リスクが大きい投資対象であるので、中長期的な資産運用にFXは含めなくてもよい、というのが私の考えです。
中長期的な資産運用は、資産を守り、安定的に増やしていく、ということが重要になりますので、それを一気に減らしてしまう可能性のある商品を組み入れることは大きなリスクとなってしまうからです。
ですから、FXをどうしても取引したい場合も、以下の点をしっかり押さえたうえで、取引されることをお勧めします。
- 自分の取引ルールを決めてそれに従って取引できる
- リスク管理がしっかりできる
- 余剰資金で取引をする