香港の税金は日本と比較しても本当に安いです。
年収1000万円分あっても納税額はゼロ!なんてこともありえます。
その分、住宅費などの生活費が安くはないのですが、香港をベースにビジネスをしたり、ある程度高収入の仕事につけるのであれば、香港で仕事をすることは大きなメリットがあります。
以前の記事で香港の税金について概要を書いていますので、ご覧になっていなかったら是非見てみてください。
https://enjoyhklife.com/%e7%a7%bb%e4%bd%8f%e5%85%88%e3%81%a8%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%ae%e9%a6%99%e6%b8%af%e2%80%95%e7%a8%8e%e9%87%91/
ちょうど先月、2018年から2019年までの収入をベースに算出された個人所得税請求書が届きましたので、これをベースに実際の所得税額をみてみましょう。
※香港の課税年度は前年度4月から今年度3月までとなっています。
Contents
特別控除:年収1000万円でも納税額ゼロ?!
香港の所得税では、これまで「特別控除」というものがあり、一定金額までの所得税額に対して「特別控除」がありました。
以下、これまでの特別控除となります。
(1香港ドル=13.9円 2020年1月2日現在)
課税年度 | 控除割合 | 最大控除額 |
2013/2014 | 75% | 10,000香港ドル |
2014/2015~16/17 | 75% | 20,000香港ドル |
2017/2018年 | 75% | 30,000香港ドル |
2018/2019年 | 100% | 20,000香港ドル |
これまでは控除割合が最大75%だったのですが、今年度は控除割合が100%となっています。
ですので、例えば今年度の所得税額が1万5000香港ドルだとすると、今年度の納税額はゼロ!となるわけですね。
(昨年と同じ75%だとすると、1万5000香港ドル×75%=1万1250香港ドルが免除され、納税額は3,750香港ドルだったことになります。)
これにより、多くの香港市民が今年度分の納税額はゼロとなっていると思われます。
あとで説明しますが、実際に、子供2人で奥さんが専業主婦の家庭の場合、所得が72万香港ドル(約1000万円)あったとしても、今年度の納税額はゼロとなる計算です。
※この特別控除は毎年決められるものですので、来年も同じとは限りません。今年度は特にデモ活動などによる経済の停滞、市民の不満解消のために100%とされた可能性があります。
税率最大17%!香港の所得税はこれだけ安い!
香港も日本と同じように累進課税制度が適用されています。
※実際には、所得控除・人的控除後の課税所得に2~17%の累進課税を課した額と、人的控除を除く所得に15%の標準課税を課した額の、どちらか低い方が適用されます。(標準課税の場合も、慈善寄付や年金MPFの拠出額などは控除されます)
香港の所得税:人的控除項目
累進課税を適用する場合、収入がない配偶者や扶養する子供がいる場合など、人的な要因によって、以下のように控除項目が設定れています。
(1香港ドル=13.9円 2020年1月2日現在)
控除項目 | 2018/2019年度控除額 |
基礎控除(独身) | 13万2000香港ドル |
基礎控除(既婚)※ | 26万4000香港ドル |
子女控除(1人につき)第1子から第9子まで | 12万0000香港ドル |
子女控除(1人につき)誕生年度 | 24万0000香港ドル |
※配偶者に所得がない場合に適用されます。共働きの場合は、「基礎控除(独身)」の額が適用されます。
その他、扶養父母・扶養祖父母控除、扶養兄弟姉妹控除、寡婦(夫)控除、障碍者手当などがありますがここでは省略します。
香港の所得税:累進課税の適用
香港の累進課税の税率は以下のように適用されます。
金額 | 税率 |
最初の50,000香港ドルまで | 2% |
50,001~100,000香港ドルまで | 6% |
100,001~150,000香港ドルまで | 10% |
150,001~200,000香港ドルまで | 14% |
200,001香港ドル以上 | 17% |
実際には課税所得が20万香港ドル(約278万円)を超えて初めて、最高税率の17%が適用されるわけですね。
香港の所得税:年収1000万円の場合
それでは、実際に今年度の税額を計算してみましょう。
始めに「年収1000万円でも納税額ゼロ!?」と書きましたが、ここでは既婚者で収入が72万香港ドル(約1000万円)。配偶者には収入がなく、子供が2人いる場合(誕生年ではない)で納税額を計算してみたいと思います。
項目 | 計算 |
+収入 | +72万0000香港ドル |
ーMPF自己負担分控除 | ー1万8000香港ドル |
ー基礎控除(既婚) | ー26万4000香港ドル |
ー子女控除(2人) | ー24万0000香港ドル |
課税所得 | 19万8000香港ドル |
年収1000万円の場合、課税所得は19万8000香港ドル(約275万円)となりました。
これに累進課税率を適用してみると以下のようになります。
金額 | 税率 | 税額 |
最初の50,000香港ドル | 2% | 1000香港ドル |
50,001~100,000香港ドル | 6% | 3000香港ドル |
100,001~150,000香港ドル | 10% | 5000香港ドル |
残り4万8000香港ドル | 14% | 6720香港ドル |
合計 | 1万5720香港ドル |
この金額は、人的控除前の金額である70万2000香港ドル(72万香港ドルーMPF1万8000香港ドル)に対して標準課税の15%を課した額である10万5300香港ドルよりも小さくなりますから、納税額は1万5720香港ドルとなります。
また、課税所得が20万香港ドルを下回っていたたため、最高税率の17%は適用されていません。
これに、特別控除が適用されるわけですが、2018/2019年度は2万香港ドルまでの納税額に対しての特別控除割合が100%となります。このため、
項目 | 金額 |
納税額 | 1万5720香港ドル |
ー特別控除 | ー2万0000香港ドル |
合計 | 0香港ドル |
マイナスはありませんから、これで納税額がゼロとなるのですね。
もちろん、この特別控除は毎年保証されているわけではないため、毎年ゼロとなるわけではありません。
前年度の例であれば、3万香港ドルまで75%の控除となっていますので、前年度であれば納税額は以下の通りとなります。
1万5720香港ドルー(1万5720香港ドル×75%)=3930香港ドル
3930香港ドルでも日本円で約5万5000円ですから実効税率0.5%!これは安いですね。
香港の所得税:年収1000万円、独身者の場合
これが独身者で年収1000万円の場合ですと、既婚者基礎控除や子女控除がありませんから、課税所得が57万香港ドルとなり、納税額は7万8900香港ドル(約110万円)となります。
これに、今年度の特別控除を考慮した場合、最終納税額は2万香港ドル引かれて5万8900香港ドル(約82万円)となり、実効税率は8.2%。これでも日本と比較してかなり安くなりますよね。
まとめ
具体的に、年収1000万円をベースに所得税額の概算を出してみましたが、既婚者(子供2人)の場合は、2018/2019年度の納税額はなんとゼロ!独身の場合でも約82万円となりました。
※あくまでも概算ですので、その他の控除額なども含め実際の納税額は異なる場合があることをご了承ください。
香港は税金が安い、と言われることを数字をもとに実感して頂けたのではないかと思います。
ビジネスをする場合も同様、法人税は累進課税ではありませんが、16.5%(利益の200万香港ドルまでは税率半分)ですので、日本の15~23.2%と比較しても安いと言えるでしょう。
是非、香港での勤務、ビジネスの展開を考えられている方は参考にしていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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(参考:EY永安 香港の税制2019-20年度、NAC国際会計グループ)