海外で生活をしていると、
私って本当に自分の国の歴史がわかってないな~
と感じることがよくあります。
特に近現代史。
これって、
- そもそも、日本の歴史がわかっていない
- わかっていても、理解がおおざっぱであるため、英語や他の外国語で表現ができない
のどちらかなんですが、②は言語能力や表現力の問題もあるのでしょうがないとして、①をそのまま放置しておくのはよくないなぁ、と思い、改めて日本史を勉強しています。
私は高校で「世界史」をとっていたので、特に「日本史」は弱いんですね。。。(だからと言って世界史をしっかり理解しているかというと心もとないのですが。汗)
「坂の上の雲」とか、「竜馬がゆく」などの小説は読んでいましたし、江戸末期から明治維新の時代は特に好きです。
ただ、歴史に対する理解がこれらの小説を読んだ範囲を超えることができないため、例えば、その時の日本を取り巻く環境とか、時系列で客観的な歴史の流れを理解していないんですね。
香港とかアジア圏に住んでいると、歴史認識に関する話になることがまれにあり、
私は留学時、中国本土から香港に来た留学生に、
お前は南京で起こったことについて知っているか?
と、自己紹介もなしにいきなり言われたこともあります。
その時に、
- まず、起こったことについて知っているか
- それに対して自分はどのような意見、立場をとっているか
を、ある程度でも、はっきりさせておくことが必要なのではないかということを痛感しました。
実際、外国人から聞かれた自分の国の歴史について、答えられない、ってすごく悔しいんですよね。
しかし、最近は歴史ブームなのでしょうか、
本屋にも日本史関連の本があふれています。
ただ、日本史の場合、近現代史というと最近のことであるはずなのに、
- 自虐史観
- 東京裁判史観
- 自由主義史観
- 皇国史観
- 司馬史観
など、同じ歴史に対して様々な解釈の方法があり、一冊読んだからと言って、近現代史を理解した、とは言えないような状況になっています。
実際、結構偏った理解になる可能性もあります。
私としてはできるだけ中立的・客観的な立場から、近現代史を勉強したいと思っていろいろ本を探していたのですが、以下にご紹介する本が比較的、中立的な立場から近現代史を書いているのではないかと思います。
中村隆英(「たかふさ」と読みます)氏は、経済学者で東京大学の名誉教授を務めた方です。専門が経済統計学なので、この「昭和史」も当時の日本の状況を様々な統計データを示しながら説明しています。
中村氏も、「昭和史」の最後で、「できるだけ客観的に」と書いていますが、そのため、文章が淡々と書かれていて、読まれる方の中には、つまらない、と感じられる方もいるかもしれません。
ただ、通常日本史の授業なんかでも、近現代史をしっかり授業で教えている、ということも少ないでしょうから、教科書以上にもっと深く近現代史をしっかり学びたいという方には強くお勧めできる本だと思います。
その中でも、私が強く印象を受けた部分について、ちょっと長いですが一つだけ引用したいと思います。
内容は、どのようにして、日本が太平洋戦争に突入していったのか、そのシステムとは、またそれは欧米のそれとどのように違うのか、というポイントです。
今も昔も変わらない日本型官僚制下の決定機構は、課長ないし課長補佐クラスが政策の立案に当り、順次上位者に説明して承認を得て、やがて政府の決定になっていくというしすてむである。もちろん、上司の意向があらかじめ示されることもあり、立案の修正が必要になることもあるけれども、むしろ例外である。日本の運命決めるような和戦のきろにおいてもそのシステムに基本的な変わりはなかったのである。それはヒトラーのドイツ、チャーチルのイギリスやルーズヴェルトアメリカ、スターリンのソ連とは基本的に異なっていた。彼らはトップが大綱を定め、その細部を官僚機構に委ねたのである。(中略)(九月六日の午前会議の)主導者は、陸海軍の関係部局であって、近衛首相でも、東条陸相でも、及川海相でもなかった。外側から見れば一枚岩のようにみえた陸軍も、稟議制のシステムのもとで「曠古」の大戦への突入を決めていったのであった。
引用:「昭和史」
非常に淡々とした文章の中にも、物事の本質が語られているので、この「昭和史」を読んで得られることはあまりにも多いと思います。
また、近現代史に限らず、日本史全体を学びたいという場合は、高校などの教科書でもよいのですが、以下の二つの本を組み合わせて読むとよいと思います。
教科書で有名な山川出版社が出している日本通史の本となります。高校の日本史の教科書よりも一歩突っ込んだ内容となっています。
また、以下の「詳説日本史図録」と一緒に学ぶと、視覚的にも日本史をしっかりを理解することができます。