海外生活

新型肺炎(新型コロナウイルス/COVID19)とは?2003年SARSとの比較でその影響を分析

2019年末から現在(2020年2月下旬)まで中国を中心に猛威を振るっている新型肺炎(新型コロナウイルス/COVID19)。

致死率は高くないようだといわれているものの感染力が強いようで、感染者数では2003年に流行した重症急性呼吸器症候(SARS)をすでに大きく上回っています。

その影響から、現在各国が移動や入国制限を課したり、予防するためのマスクやアルコール消毒液が世界的に不足するなど、私たちの生活にも大きく影響を与えています。

ここでは、2003年に同じように中国を中心にして世界に広まったコロナウイルスであったSARSと比較しながら、新型コロナウイルスについてわかりやすく説明していきます。

Contents

コロナウイルスとは

コロナウイルスとは、人の間で季節的に蔓延する風邪のウイルス4種類と、重症急性呼吸器症候(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)のように動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類の合計6種類が知られています。(今回のCOVID19を追加すると7種類)

一般的な風邪の10~15%(流行期は35%)が風邪のウイルス4種類のコロナウイルスが原因であるといわれています。

毎年流行するインフルエンザもインフルエンザウイルスによる感染症です。

トニー
トニー
余談ですが、今年はアメリカでインフルエンザが猛威を振るっていますね。

2003年に中国広東省や香港で流行したSARSとは

重症急性呼吸器症候(SARS)は、コロナウイルスによって引き起こされるウイルス性の呼吸器感染症で、2002年11月から2003年7月にかけて、中国南部広東省や香港を中心として世界的に広がりました。

2003年7月に終息宣言が出されるまでに8,000人以上が感染し、37か国で774人が亡くなったといわれています。(致命率9.6%)

SARSの発生と原因

SARS発生の原因はコウモリからきているといわれていて、コウモリから人に直接感染したか、中国の市場で売られていた動物を介して人に感染したとされています。

最初の症例は2002年11月に中国広東省で報告されたもので、中国政府はこの感染症の発表を2003年2月まで行わなかったため、これが感染の拡大と対策の遅れを招きました。

トニー
トニー
今回も中国の対応が批判されていますが、このSARSの時と比較すると情報公開と対策面でも大きく改善しているとはいえると思います。

SARSの症状

SARSの初期の症状はインフルエンザや通常の風邪と似ているといわれていて、38度以上の高熱や咳、呼吸困難が見られます。中には下痢となる人も見られました。

SARSかどうかの判断はウイルス検査で陽性になった場合となります。

また、死亡するなど重症化するケースの特徴として、もともと心臓病や糖尿病など基礎疾患を患っていたことが原因とみられることがありました。

トニー
トニー
この点、今回の新型コロナウイルス(COVID19)とも似ていますね。

SARSの感染経路

SARSの主な感染経路としては、飛沫感染や接触感染が挙げられます。

飛沫感染とは、感染者が咳やくしゃみをしたときに放出されるウイルスを他の人が口や鼻から吸い込んでしまうことにより感染することを言います。

接触感染とは、感染者が咳やくしゃみをしたときに手で押さえるなどして手にウイルスが付着したままの状態で回りのものに触れ、別の人がそれに触れてウイルスが付着し、その手で目や鼻、口を触ることで感染することを言います。

また、九龍にあるアモイ・ガーデンズで発生した集団感染では、トイレ排水システムを通じて、エアロゾルと呼ばれる空気中に浮遊するウイルス粒子が感染拡大の原因となったともいわれています。

トニー
トニー
このため、今回の新型肺炎でも①マスクの着用、②手洗いの徹底、③トイレを流すときは蓋を占めることが叫ばれています。

スーパー・スプレッダーの存在

SARSでは、1人の感染者が通常考えられる以上の2次感染を引き起こす現象が見られました。このように感染症を引き起こす病原体を多くの人に感染させる人を「スーパー・スプレッダー」と呼んでいます。

香港では、九龍にあったメトロポールホテル9階に泊まっていた広東省出身の医師が、同じ階に泊まっていた16人に二次感染を起こしました。

また、糖尿病などを患っていた54歳の男性がいくつかの病院を転院する中で2日間で33人に感染させていたことが発覚したことも、スーパースプレッダー現象といわれています。

これら2次感染で感染した人がその後、さまざまな国や地域に行ってSARSを発症することで世界的な感染拡大へとつながっていきました。

SARSの予防

SARSは飛沫感染や接触感染で感染が広がっていたことから、それを予防するためには以下の方法が奨励されていました。

これは今回の新型コロナウイルスでも共通する注意点として挙げられると思います。

  • 手洗い
  • 消毒
  • マスクの着用
  • 体液の接触を避ける
  • 感染者の私物(食器など)を熱した石鹸水で洗浄
トニー
トニー
余談ですが、現在香港や広東省ではレストランなどで出される食器を熱いお湯やお茶で洗浄する習慣がありますが、これはこの2003年のSARSがきっかけで始まったといわれています。

以下に、通常のインフルエンザと、風邪コロナウイルス、そして今回取り上げたSARSと、同じような重症肺炎ウイルスであるMERSの特徴をまとめてみました。

インフルエンザ 風邪コロナウイルス SARS MERS
発生年 毎年 毎年 2002年~2003年 2012年~現在
潜伏期間 1日~4日 2日~4日 2日~10日 2日~14日
症状 高熱、頭痛、倦怠感、関節痛 鼻炎、上気道炎、下痢 高熱、肺炎、下痢 高熱、肺炎、腎炎、下痢
感染経路 咳、飛沫、接触 咳、飛沫、接触 咳、飛沫、接触、便 咳、飛沫、接触
死亡者/感染者 774/8,098 858/2,494

2020年新型コロナウイルスへの対応:SARSの教訓

2003年に中国広東省や香港を中心に拡大し、世界的にも流行したSARSですが、私たちがSARSから得た教訓とはいったい何だったのでしょうか。

また、SARSで得た教訓を踏まえて、現在広がる新型コロナウイルス(COVID19)に対して私たちは何ができるのでしょうか。

マスクの着用

SARS同様、今回の新型肺炎も飛沫感染することが指摘されていますので、自分が感染している可能性があると思われる場合にマスクをすることはもちろん、ウイルスを吸い込んでしまわないようマスクを着用して予防することが大切です。

手洗いの徹底

手洗いも水だけではなく、せっけんやアルコール消毒液などでしっかりを洗浄をすることが大切です。

これもSARS同様、今回の新型肺炎は接触感染することが指摘されていますので、しっかり手洗いをすることで、どこで触れたかもしれないウイルスが、手で触れたことによって、そこから目や鼻、口に触れてウイルスが体内に入ることを防ぎます。

大勢の人が集まる場所を避ける

特に、糖尿病など持病を持っている方は、感染することによって重症化する傾向がみられます。ですので、多くの人が集まりやすい場所は避けて行動することが大切です。

また、電車や会社、公共施設などの多くの人が集まる場所では、むやみに手すりやつり革などを触らないようにすること、また手で顔を触らないように心がけること、そして頻繁に手を洗う癖をつけることが大切です。

緊急時における情報

香港デモの情報を取り上げたときにも指摘していたのですが、地震などの自然災害や疫病などの状況においても様々な情報が飛び交います。

今回の新型コロナウイルス(COVID19)についても以前にSARSやMERSを経験していると言ってもウイルスの特性などは初めて遭遇するものですので、情報が錯そうしたり、一度発表された情報が後で訂正されることもあるでしょう。

現在はSNSなどの発達により、多くの情報が飛び交っていますが、いわゆるフェイクニュースが飛び交ったり、ウイルス拡散を防ぐ行動がかえって差別行為につながったりもしています。

早期に新型コロナウイルスの状況が収束することを祈るとともに、状況をできる限り正確に冷静に理解するように努め、適切な対応を取っていくようにしたいものです。

↓中国の新型コロナウイルス情報データ

↓香港の新型コロナウイルス情報データ

新型コロナウイルス(COVID19)に対する香港の状況と対応(2020年1月末~2月)香港で新型コロナウイルスの感染拡大が本格的に始まってから4カ月がたとうとしています。 1月26日の時点で香港で5例だった感染確認数...

<参考>

・国立感染症研究所 コロナウイルスとは SARS(重症急性呼吸器症候群)とは

・厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A

・Wikipedia 重症急性呼吸器症候群

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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