若いうちに海外で働くことができる制度として、ワーキングホリデー(ワーホリ)があることは皆さんご存知だと思います。
ワーホリは海外で1年間自由に語学学習をしたりアルバイトで働いたりと非常に自由度が高くて人気がありますよね。
その制度が、「在外公館派遣員制度」なんですね。
この制度、初めて名前を聞かれた方も多いかもしれません。
外大とかなら、学内で宣伝がされているのかもしれませんが、それ以外の大学ではほとんど知られていないのではないかと思います。
実は私も、大学卒業直後に、在外公館派遣員として、2年間働いた経験があるんですね。
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海外で働ける「在外公館派遣員」とは?
在外公館派遣員制度とは、原則2年間で、世界中にある日本大使館や日本領事館で、語学力を活用し、便宜供与という名の出張者対応や、事務補佐的な仕事をして経験を積める制度を言います。
外務省の外郭団体である「国際交流サービス協会」が採用活動を行っています。
私の時は年齢制限があり26歳くらいまでだったと記憶していますが、今は特に年齢制限はないようです。
前期・後期の年2回の募集があり、以下のスケジュールで決まります。
前期 | 後期 | |
出願 | 4・5月 | 9・10月 |
1次試験 | 5月 | 10月 |
2次試験 | 6月 | 11月・12月 |
内定 | 7月 | 12月 |
赴任 | 9月 | 3月 |
私の場合は、交換留学から帰って来た後に後期日程で受験をして、無事に採用され、3月に大学卒業と同時に赴任しました。
大学時代に交換留学で海外経験があり、語学もそれなりにできたので、採用してもらえたのかな、と思っています。
現地では総務部に所属し、便宜供与を中心に、在外公館の館用車のアレンジをしたり、何でも屋として仕事をしていました。
便宜供与では、主に、航空会社や空港スタッフとのやりとり、ホテルの予約、車のアレンジ。
そして実際に出張者が来るときは、空港やアポ先への送迎などをしていました。
でも、出張者のといっても、在外公館の場合は、官庁のお役人さんだったり、国会議員さんだったりするので、そういう人たちが現地の政治家や有識者と会見するのをアレンジしたり、その場に参加できるのは、それはそれで貴重な経験でありました。
在外公館派遣員をして良かったこと
そんな在外公館派遣員ですが、私なりに評価してみたいと思います。
- 待遇の良さ(給料・居住環境)
- 海外での仕事経験
- 外国語を使って仕事
- なかなか会えない人に会える
- そのまま外務省に入れる(?)
①待遇の良さ
在外公館派遣員はサイトにもありますが、場所によって月24〜39万円のお給料があります。
ただ、派遣員が良いのはこの給料が非課税となっているため、ほぼこの金額が手取りになることなんですね。
そう考えると、新卒の初任給などと比較しても、かなり待遇は良いと言えます。
また、現地外交団の一員という立場からそれなりの安全が確実されたところ(つまり現地の高級住宅街)に住むことができます。
しかも、住宅手当があるため、私の場合は住宅手当の範囲内で住む場所を選び、手出しはありませんでした。
②海外での仕事経験
私の場合は留学経験はありましたが、海外での仕事経験はまた留学とは違った貴重な経験です。
私場合は、日本からも遠くないアジアでしたが、場合によってはアフリカなどへの赴任も十分にありますから、赴任先によっては経験の内容が全く違うと思います。
また、2年間の赴任中、よく近隣国の同じ時期に派遣された「同期」のところに遊びに行ったりしていました。
彼らの家に泊めさせてもらってり、彼らの仕事の様子などを聞けたりしたのもすごく良い経験となりました。
今でも連絡を取り合っている同期の友人もいるので、こういったつながりもとても貴重なものです。
③外国語を使って仕事
海外なので、もちろん仕事は外国語を使って行います。
大使館や領事館のスタッフなんかは結構日本語ができたりする人も少なくないのですが、対外的なやりとりは外国語も増えます。
留学とは違って、仕事となると、自分たちの要望などをしっかりはっきり伝える必要がありますから、これもまた貴重な経験ですね。
④なかなか会えない人に会える
仕事上、役所の偉い方や、国会議員さんの対応も少なくないため、テレビや新聞で見る人と会うことも少なくありませんでした。
もっとも派遣員の立場的には、一番ペーペーなので、そういった人たちとゆっくり話すということは多くはありませんが、そのような方と仕事をするというには貴重な経験だと思います。
⑤そのまま外務省に入れる?
私の同期でも、派遣員の期間終了後、そのまま外務省に入省(本官採用)し、今も外務省で活躍している友人がいます。
任期中にしっかり仕事をして、大使や総領事などから推薦してもらえば、内部試験みたいなものを受けて入ることができるようです。
私に同期50人くらい?の中でも数人、そのまま外務省に入省していたようでした。
待遇は国家三種とのことです。
在外公館派遣員をする前に考えたほうが良いこと
これだけ見ているとかなり良いように見えるかもしれませんが、派遣員を希望する前jにかが得たほうが良い点もいくつかあります。
- 終了後の就職の保証がない
- 仕事経験として活かせるかどうかは微妙
- 言語習得が目的だと厳しいかも
①終了後の就職の保証がない
派遣員をするかどうかを考える上で、これが一番大きい問題なかぁと思います。
派遣員として2年間、海外に行ってしまうと、日本の通常の就職スタイルからは完全に外れてしまいます。
新卒採用での就職は難しいのが現状です。
外務省に入るんだ!というのなら別ですが、しっかりと派遣員後を考えて申し込みをする必要があります。
私の場合は、派遣員後は大学院留学を考えていたので、派遣期間後半からはその準備を進めていました。
とはいえ、現地でしっかり仕事をしていると、仕事で関係している会社さんから「派遣員が終わったらうちで働くかい」なんていうお誘いもありました。
また、同期でも派遣員終了後から日本のいわゆる大手企業で採用を勝ち取った人もいるので、頑張り次第だなぁ、とは思います。
②仕事経験として活かせるかどうかは微妙
派遣員の仕事は特殊であり、公的な仕事も多いため、そこから一般企業で仕事を探す場合は、派遣員の仕事が「仕事経験」として生きるかどうかは微妙なところです。
営業でもないし、マーケティングでもない。事務といえば事務だけど、内容も一般企業のそれとは全く異なります。
ですから①とも関連しますが、派遣員赴任期間中は、常に派遣員後のことを考えて、勉強したり、人脈を作ったり、動いて行った方が良いと思います。
③言語習得が目的だと厳しいかも
実際、派遣員として仕事を知る上で関わる人は海外とはいえ、現地の日本人や日本語を話せる現地の方も少なくありません。
ですから、派遣員として語学を習得するというよりは、すでにある程度その言語はできる状態で、仕事をするといいスタンスのほうが良いのではないかと思います。
以上、。在外公館派遣員について書いていきましたが、今は私が派遣員をしていたときよりも、労働市場も流動的になってきています。
また、海外で働く若い人も増えて来ています。
ぜひ、海外で働いてみたい、という方は挑戦してもらいたい制度だと思います。