海外在住が長いのに日本の2級FP技能士資格を持っていて、資産運用にもちょっと携わっているトニー(@enjoyhklife)です。
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年金2000万円不足問題と老後の生活への不安
今年に入って金融庁が発表した報告書によって指摘された「年金2000万円不足問題」。
これを機に、今まで漠然と不安視されていた日本の年金制度が、一気に具体性を帯びて注目されました。
今の年金では老後を安心して生きられない。
日本の年金制度への不信感と、自分の老後の生活への不安が一気にクローズアップされたのが2019年と言っても過言ではないと思います。
老後の必要資金:年金だけで本当に足りるのか
総務省の家計調査報告によると、一般的な高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の家庭における月々の支出は約27万円と言われています。
これに対し、公的年金や社会保障からの給付が月約19万円。
これだけですでに月8万円も足りないことがわかります。
夫婦がともに老後25年間を過ごすとすると、不足金額は8万円×12カ月×25年=2400万円にもなってしまうのです。
更に、体の状況によっては、病気になったり、介護が必要になったりすることも十分にあり得ますし、最終的には自身の葬儀にかかる費用もあります。
これを考えると年金2000万円不足も現実的な問題として考えなければいけないことなってきます。
上記の計算がちょっと大げさで、夫婦2人が老後25年間(90歳まで)生きないとしても、老後に、これまで行けなかった国内の温泉旅行とか海外旅行にも行ってみたい、趣味に力を入れてみたいなど、第2の人生を豊かに生きようと思う方は多いでしょう。
そうなると、老後資金を少しでも多く貯めておく必要があることは間違いありませんよね。
どのようにして老後資金をためていったらよいのか
では、どのようにして年金以外の方法で、老後資金をためていったらよいのかとなりますが、ここで資産運用の必要性が出てくるのです。
私も香港にいて感じるのですが、日本人は特に資産運用が苦手です。
というか、日本では株式投資などで資産を増やすことが「悪」であるかのようにとらえられていて、資産運用について身近で話したりすることができない雰囲気があるのです。
香港人であれば、株式投資などの資産運用をやっていない人がいないのではないか、と思えるほど皆投資に興味関心があって、金額の大小はありますが、普通の会社員でも投資をしている人は多いです。
また、俗な言い方をすると「お金儲け」に関する情報は、特によく香港人の間では交わされているので、日本とは状況が全然違うことを感じます。
ただ、日本でも、年金制度を補い老後に対する不安を和らげるための制度ができてきているのも確かです。
それが、「NISA(ニーサ)」や「つみたてNISA」、「個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)」なんですね。
つみたてNISAとiDeCo(イデコ)の最大のメリットは税制優遇・節税効果
NISA(ニーサ)は、小額投資非課税制度と言われていて、毎年決まった金額の範囲内で購入した株式や投資信託(ファンド)から得られる利益や配当金が非課税になる制度です。
日本に住む20歳以上の方が対象となり、年齢や経験、投資目的に合わせて「一般NISA」と「つみたてNISA」から選ぶことができます。
また、個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)とは、公的年金に加えて、自主的に加入することができる私的な年金制度となっています。
NISAもiDeCoも、その最大のメリットは税制優遇・節税効果と言えるでしょう。
通常、株式や投資信託で運用を行うと、売却時に利益が出たり、配当を受け取ったりすると、20.315%の税金がかかります。
100万円で投資をして20万円儲かって120万円で売却した場合、利益の20万円に対して、20.315%の税金がかかり、4万円強が税金として徴収されてしまいます。
これは資産運用をしていたら大きな影響ですよね。
この税金を一定の範囲内において優遇しているのがNISAやiDeCoなのです。
つみたてNISAとiDeCo(イデコ)の違いと、おススメする人
節税効果が大きなメリットになっていて似ているNISAとiDeCoですが、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴を下にまとめてみました。
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
対象者 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20~59歳 |
買付方法 | 通常買付・積立 | 積立 | 積立 |
非課税投資枠 | 120万円/年 | 40万円/年 | 14万4000円~81万6000円 |
非課税期間 | 最長5年 | 最長20年 | 60歳まで |
税制優遇 | 運用益 | 運用益 | 掛け金、運用益、受け取り |
対象商品 | 株式、ETF、投資信託 | 一定の基準を満たした投資信託 | 投資信託、定期預金、保険 |
口座開設期間 | 2023年まで | 2037年まで | 60歳まで |
途中の引き出し | できる | できる | 60歳までできない |
金融機関変更 | 可能 | 可能 | 可能 |
それぞれ似通っている部分は多いのですが、iDeCoは年金ですから引き出しが60歳までできない、という点が難点かもしれません。
・投資初心者の方
・少額でコツコツ積み立てたい方
・商品を選ぶのが苦手な方
厳選された商品の中から積み立てするものを選び、小額でコツコツ貯めていけるので、つみたてNISAは20代~40代の若い方におススメです。
・ある程度の投資経験がある方
・積立だけでなくまとめて投資がしたい方
・幅広い選択肢の中から自分が好きな銘柄に投資がしたい方
一般NISAは、ある程度資産運用に対する知識や経験があって、自分のタイミングで自由に投資をしたい方向けですね。
・安定した収入のある方
・決まった金額をコツコツ積み立てたい方
・商品を選ぶのが苦手な方
iDeCoは60歳まで引き出せないので、安定した収入があり、長期で積立ができる方向けの制度と言えるでしょう。

つみたてNISAで老後を豊かにするプラス1200万円の老後資金を作ろう
初心者の方は、まず少額で限られた商品の中から積み立てができる「つみたてNISA」から始めることをお勧めします。
少額と言っても、つみたてNISAで積立できる月3万3000円を、20年間年利4%で運用した場合、20年後に受け取れる金額は1200万円をこえます。
2000万円には届きませんが、老後資金をサポートするものとして決して小さなものではありませんよね。
まずは、つみたてNISAでコツコツ資金をためていきながら、運用に対する知識や経験を高めていけば、一般NISAに切り替えたりすることも検討できます。
老後の生活に対する不安を少しでも軽減するため、第二の人生を豊かに過ごしていけるように、今から少しずつできることをしていきましょう。

