資産運用

つみたてNISAで取り扱いがある人気ファンドを徹底分析(1)株式ファンド編

海外在住が長いのに日本の2級FP技能士資格を持っていて、資産運用にもちょっと携わっているトニー(@enjoyhklife)です。

老後2000万円不足問題を機に一気に注目を集めるようになった、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)。

その中でも、一番お手軽に始められて、節税効果が高いのがつみたてNISAなんですよね。

非課税投資枠は最大40万円/年ですので、一般NISAやiDeCoと比較すると決して大きくはありません。

しかし、小額から積立できる、非課税期間が最長20年間、払い出し制限なしなど、とにかく手軽に始められるのが大きなメリットとなっています。



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つみたてNISAで取り扱っている商品からどれを選ぶ?

NISAの必要性はわかった、手軽さやメリットもわかったとなると、問題は「どの商品で積み立てていったらよいのか」ってことなんですよね。

つみたてNISAでは商品数が限定されていますが、それでも150本前後の投資信託(ファンド)の中から選択する必要があります。

証券会社 取扱商品数
SBI証券 152本
楽天証券 152本
マネックス証券 149本

ある程度金融商品に知識があって、積み立てる商品にもこだわりがある人にとっては150本では物足りないと感じるかもしれませんが、普通の利用者にとっては150本もあれば十分です。

実際に積み立てたり、チェックをしておいた方がいい商品となると、150本もあるうちの10本あるかないかになると思います。

それ以上見ていても正直だんだんと面倒になって管理できなくなってしまうだけですからね。

つみたてNISAによる運用効果は2つ

つみたてNISAをすることによる運用面でのメリットは2つです。

  1. 買い付けるタイミングを分散できる。
  2. 買い付ける商品を分散できる。

つみたてNISAで積立を行うのは投資信託(ファンド)ですが、ファンドに組み入れられているのは株式や債券などとなっています。

そして、株式や債券には価格があり、その価格は日々変動しています。

特に株式は、大きく価格が上昇する可能性を持っていながらも、相場や経済の状況によっては、下落することもあります。

投資元本は保証されていません。

ですから、ちゃんと商品を選んで、良いタイミングで投資をしないと、大切な資産を減らしてしまうこともあり得るのです。

しかし、そのリスクをできるだけ減らし、中長期的に安定して資産を増やしていける可能性を高めていけるのがつみたてNISAでの運用なんですね。

それが可能となる理由は2つ。

1つは、買い付けるタイミングを分散することによって、買い付け単価を平均化できるから。

投資したい金額全額を1回で買い付けるとなると、タイミングが何よりも重要になります。

例えば、2008年10月のリーマンショックの直前に全額投入して株を買ってしまった場合、投資元本を回復するのに何年もかかってしました。

これに関しては以下の記事で「ドルコスト平均法」の説明として書いています。

NISAやiDeCoで積立運用をする際に必ず知っておくべき運用のポイントとは海外在住が長いのに日本の2級FP技能士資格を持っていて、資産運用にもちょっと携わっているトニー(@enjoyhklife)です。 ...

2つめは商品の分散をすることによって、1つの商品に偏らず分散させ、1つの商品による価格の変動による影響を抑えることができるから。

個別銘柄で例えばですが、ソニー株を買った場合、ソニーの財務状況や決算の内容、今後の事業の見通しをしっかり見ていかなければいけません。

しかしファンドであれば、例えば以下にも取り上げる「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、大まかに言って、米国市場の動向、さらにいえば世界経済の大まかな動きを追ってさえいればよいことになります。

それに以下に取り上げるファンドでも、組み入れ銘柄が一番少ないものでも「ひふみプラス」の237銘柄です。

これだけあれば、十分に分散されていますし、一つの銘柄の株価が下落したとしても他の銘柄で十分にその下落をカバーできると言えます。

このようにファンドは1つの商品を購入だけで、すでに十分な分散投資ができるようになっているのですね。

つみたてNISAで人気のファンドを徹底分析

それでは、ここでつみたてNISAでも人気があるファンドを5つそれぞれの投資対象に分けて紹介したいと思います。

  1. 世界株式:eMAXIS Slim先進国株式インデックス
  2. 世界株式:ニッセイ外国株式インデックスファンド
  3. 米国株式:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
  4. 米国株式:楽天・全米株式インデックスファンド
  5. 日本株式:ひふみプラス

これらのファンドを見るときに注意すべき点は5つ。

  1. 純資産総額
  2. 基準指数(ベンチマーク)
  3. 組み入れ銘柄数
  4. ファンドの費用
  5. 委託会社・受託会社

通常、ファンドを選択する場合は、上記の純資産総額や費用、委託会社や受託会社を知ることはとても大切です。

ただ、つみたてNISAで取り扱われているファンドは、各運用会社がNISA対象商品として認めてもらうよう金融庁に届出を行って、金融庁が認めたものとなっています。

ですから、それぞれのファンドの信頼性としては一定のお墨付きがあると思ってよいと思います。

お墨付きとはいっても、当然のことながら投資商品ですから将来のパフォーマンスが保証されたものではありません。



つみたてNISAで行う「世界株式」への投資

それでは、さっそく5つのファンドを1つずつ見ていきたいと思います。

まずは、世界株式で人気の2つのファンドです。

世界株式:eMAXIS Slim先進国株式インデックス

純資産総額 522.67億円
ベンチマーク MSCIコクサイ・インデックス
組み入れ銘柄数 1,327銘柄
ファンドの費用 購入手数料:なし
運用管理費用:年率0.10989%
委託会社 三菱UFJ国際投信株式会社

※2019年7月31日現在の月次レポートから。手数料率は消費税率が10%になったことを仮定。

世界株式:ニッセイ外国株式インデックスファンド

純資産総額 1,295億円
ベンチマーク MSCIコクサイ・インデックス
組み入れ銘柄数 1,320銘柄
ファンドの費用 購入手数料:なし
換金時手数料:なし
運用管理費用:年率0.10989%
監査費用:年率0.0011%
委託会社 ニッセイアセットマネジメント株式会社

※2019年7月31日現在の月次レポートから。手数料率は消費税率が10%になったことを仮定。

この2つのファンドのどちらも基準としている指数であるベンチマークは「MSCIコクサイ・インデックス」です。

この「MSCIコクサイ・インデックス」の構成銘柄は日本を除く主要先進国の株式となっています。

国・地域の構成比は以下の通りとなっています。

(引用:MSCIコクサイ・インデックス ニッセイ・アセットマネジメント)

全体のほぼ7割が米国株式となっています。

世界の株式市場の時価総額に占める米国株式市場の割合は約55%ですから、それを先進国市場にしぼった場合、7割近くなるのはうなずけます。

ちなみにヨーロッパ市場が世界に占める割合は約20%。

ここからも、これらのファンドが米国市場の動向に大きく左右されることは想像できると思います。

(参考:世界各国のPER・PBR・時価総額 (毎月更新) わたしのインデックス)

また、これら2つのパフォーマンス、構成銘柄、手数料は同じですので、この2つであれば、どちらを選んでもよいといえます。

逆にこれら2つを積み立てても内容が重複してしますだけなんですね。

つみたてNISAで行う「米国株式」への投資

次に米国市場に焦点を当てて2つのファンドをあげてみました。

米国株式:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

純資産総額 250.99億円
ベンチマーク S&P500指数
組み入れ銘柄数 505銘柄
ファンドの費用 購入手数料:なし
運用管理費用:年率0.165%以内
委託会社・受託会社 三菱UFJ国際投信株式会社

※2019年7月31日現在の月次レポートから。手数料率は消費税率が10%になったことを仮定。

米国株式:楽天・全米株式インデックスファンド

純資産総額 506.26億円
ベンチマーク CRSP USトータル・マーケット・インデックス
組み入れ銘柄数 3,604銘柄
ファンドの費用 購入手数料:なし
換金時手数料:なし
運用管理費用:年率0.1296%
委託会社 楽天投信投資顧問株式会社

※2019年7月31日現在の月次レポートから。

これらの2つのファンドでは基準となる指数であるベンチマークが異なっています。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は文字通り、米国市場の主要株価指数である「S&P500指数」がベンチマークですので、米国市場の主要500銘柄の動きに連動します。

また、楽天・全米株式インデックスファンドは、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」という指数をベンチマークとしています。

この指数は簡単に言うと米国株式市場の取引可能なすべての銘柄約4,000銘柄で構成されています。

主要500銘柄をとるか、市場全体をとるか、という違いとなっています。

構成されている業種で見ると、結構異なるようにも見えます。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

楽天・全米株式インデックスファンド

ただ、よく見ると両者でセクターの分け方に違いがあり、単純に比較ができません。

例えば、FACEBOOKはeMAXIS Slim米国株式ではメディア・娯楽に分類されていますが、楽天・全米株式インデックスファンドではテクノロジーとして分類されています。

ただ、両方共のパフォーマンスでは大きな違いはありませんでした。

つみたてNISAで行う「日本株式」への投資

日本株式:ひふみプラス

純資産総額 5,954.1億円
参考指数 TOPIX
組み入れ銘柄数 237銘柄
ファンドの費用 購入手数料:3.24%(上限)
運用管理費用※
委託会社 レオス・キャピタルワークス株式会社

※2019年7月31日現在の月次レポートから。運用管理手数料は500億円まで1.0584%、500億円を超える部分は0.9504%、1000億円を超える部分は0.8424%とわかれています。

ひふみプラスは日本株ファンドの中ではちょっと特殊かもしれませんが、純資産総額も6000億円近くと大きなファンドになっています。

ベンチマークもなく、参考指数としてTOPIXを使用しています。

TOPIXは東証一部上場すべての銘柄が構成銘柄です。

直近1年ではTOPIXを下回っていましたが、3年ですとTOPIXを14%上回っていますので、なかなか良い運用成績ではないでしょうか。

まとめ

つみたてNISAで人気がある株式ファンドを5つ取り上げてみましたが、どのファンドを積み立てたらよいかわからない場合は、まず世界株式から1つ、日本株式から1つ選んでみてはいかがでしょうか。

これらを一定の割合(例えば世界株式8割、日本株式2割)で積み立てると、世界全体の株式市場をカバーできますからバランスが取れた積立ができると思います。

ファンドはそれ自体がすでに数百~数千と多くの銘柄で構成されているため、十分に分散効果はあります。

ですから、たくさんのファンドを積み立てても、それほど大きなパフォーマンスの違いは生まれません。

それよりも数が多ければ多いほど、パフォーマンスの管理が大変になってしまいます。

私の意見としては多くても5つくらいのファンドを積み立てればそれで十分だと思います。

それよりももっと大事なのは、早く始めて長期間積み立て続けること。

それによってつみたてNISAの2つの分散効果を得ることができるのです。

それぞれのファンドが小額から積立可能ですので、まずは始めてみてはいかがでしょうか。



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